World Triathlon Series

バブル方式の中のWTCS横浜2021

2021年からWorld Triathlon SeriesからWorld Triathlon Championship Seriesに名称が変更になり、略称もWTSからWTCSになったトライアスロンの大会のサポートに行って来ました。しかし今年はCOVID-19 対策で選手との外部の接触は一切禁止されていました。選手とチームスタッフは『Bubble(バブル)』と呼ばれる市中とは隔離された空間の中に身を置いて日本への入国から出国まで生活と競技を行います。

バブル方式」とは

サッカーやバスケットボールなどで既に導入されている「バブル方式」ですが、名称は開催地をあたかも大きな「泡」で囲むところに由来します。選手やスタッフと外の世界の接触を断つ。入国前からPCR検査を行い、入国時と滞在中も頻繁にPCR検査を行います。移動制限や行動制限も厳しく、滞在先のホテルと練習場と試合会場以外の場所には原則的には行くことが出来ません。「安心安全」の東京オリンピックにもこの方式が採用される予定です。空港からホテルの移動も公共交通機関は利用できません。滞在中はスマートフォンのアプリで行動を監視されます。

基本的なルール

大会に参加する全ての人々に以下の事の遵守が求められました。

  • マスクの常時着用
  • ソーシャルディスタンスの確保
  • 咳エチケットの遵守
  • 近接する距離においては大きな声での会話は避ける
  • 徹底した換気
  • 人と人が近付きすぎるのを避け、人混みも避ける
  • 人が集まることは避ける
  • 頻繁な手洗い
  • 継続的な検温

WTCS横浜2021の入国方法

WTCS横浜2021に出場する為に来日した選手とスタッフは全て成田空港から日本に入国しました。2019年までは成田空港から入国する選手もいれば、羽田空港から入国してくる選手もいましたが、2021年は基本的に5月11日(火曜日)に成田空港からの入国のみが許可されたようです。出国は基本的にはレース翌日の5月16日。出国時のPCR検査の結果の出る時間と航空便の時間の関係で前後することがあったようです。

行動・健康管理に用いられたアプリケーション

入国時に検疫官に以下4つのアプリケーションがスマートフォンにインストールされており、且つ正常に作動するかを検疫官にチェックされます。

  1. OEL(行動・位置情報追跡アプリ)
  2. Googleマップ(地図アプリ)
  3. COCOA(接触トラッキングアプリ)
  4. ONE TAP(健康管理アプリ)

PCR検査

参加する選手・スタッフには合計5回のPCR検査等の検査が求められています。

  1. 出発国を出国時にPCR検査を受けて陰性証明書の発行を受ける
  2. 成田空港に到着時に抗原テスト
  3. バブルに滞在中の5月13日か5月14日にPCR検査
  4. レースゴール後にPCR検査
  5. 出国時に成田空港でPCR検査
入国時に検疫官に求められる書類の記載例

日本国内での移動手段

日本国内での移動方法は一切の公共交通機関を認められず、専用車両で移動します。今回は国ごとにマイクロバスが用意されていたようです。移動と言っても認められた場所以外には行ってはいけないので、移動できる範囲は以下に限られます。

  • 成田空港⇔ホテル
  • ホテル⇔トレーニングスペース
  • トレーニングスペース⇔レース会場
  • ホテル⇔レース会場

宿泊先

WTCS横浜2021に出場する選手・スタッフの宿泊先ですが、エリートに参加する選手はシェラトン横浜ベイホテル&タワー(横浜駅前)、パラトライアスロンのエリートに参加する選手はホテルニューグランドに宿泊していました。2019年まではホテルモントレー・ホテルニューグランド・ローズホテル等付近のホテルから選択出来ましたが、バブルに入る為、宿泊先の選択は出来ませんでした。ホテルはフロアごと借り上げ、基本的には部屋で過ごすことになります。それぞれシングルルームが用意されています。食事は3食用意され部屋の中で摂ります。成田空港とホテルの往復の交通費と5泊6日3食付きで約¥100,000で用意されたようです。ホテル内では以下の事が求められました。

  • ホテル内に移動式のコンビニが設置される
  • 食事は3食自室のみで摂取可能
  • デリバリーの注文禁止
  • 食事は決まった場所に毎食配給される
  • ホテルの部屋の清掃やリネン類の補充は受けてはいけない
  • アメニティ類は滞在期間中に必要な分を供給済み
  • 部屋で出されたゴミは回収されないので、ホテルの決められた場所に各人が運ぶ
  • ホテル内は定期的に換気され消毒剤やアルコールで消毒されています
  • バイクは決められたエリアで保管する
  • 警備員がホテルの入り口に立ち移動や行動の制限を行う場合がある
  • ベルホップが荷物の運搬を手伝ったり案内することはありません
  • マッサージサービスは利用できません

トレーニング

2019年まではYCACを借りて行っていた選手のトレーニングは、JTU(日本トライアスロン連合)のスポンサーであるNASスポーツクラブの瀬谷(5月12日)と戸塚(5月13日)を借り上げて実施されました。スポーツクラブまでは国毎に分かれてマイクロバスで移動していました。バイクトレーニングは山下公園の周辺の宴会・会議スペースを借り上げてローラー台を用いたトレーニングを人数制限をしながら行っていました。スイムの試泳は金曜日にレース会場になる山下公園で行われました。

スイム試泳とバイク試走

スイムの試泳はレース前日の5月14日(金曜日)にレース会場になる山下公園で行われました。バイクの試走は通常レース数日前の早朝の時間帯にパトカー先導の下行われていましたが、今年は男女とも各スタート前の直前に40分程度の時間が用意され各自ウォーミングアップの一部としてバイクコースを走っている選手がいました。時間的にタイトなので全ての選手が試走するということはありませんでした。

男子スタート直前にバイクコースを試走するスクーマン選手

バブルの中には入れない

バブルの中に私は入ることが出来ないので、選手のコンディショニングのサポートを今年は行うことが出来ませんでした。今年は写真撮影に徹して来ました。

5月15日 レース当日

2021年5月15日(土曜日)は快晴に恵まれました。湿度も低く、風もそれほど吹かずレースをするには絶好の気候でした。5月1日よりオリンピッククオリフィケーションランキングが再開されて初めてのレースになりました。

女子エリート

女子エリートは10時16分スタート。スイムでばらけた集団がバイクで一度まとまりましたが、途中Tayler Knibb選手(USA)とMaya Kingma選手(ドイツ)の2人が抜け出します。

バイクで逃げるKnibb選手(右)とKingma選手(左)

Knibb選手とKingma選手の2人でランニングをスタートしましたが、徐々にKnibb選手が差を開き単独トップで逃げ切り優勝しました。Knibb選手は東京オリンピックのアメリカ代表に決定しました。

WTCS横浜2021女子エリートハイライト

男子エリート

女子のレース終了後、13時6分に男子がスタート。男子は序盤から比較的大きな集団でレースを形成してレースを進めました。バイクの中盤でJonas Schomburg選手(ドイツ)が集団から逃げますが、やがて吸収されます。

バイクで逃げるJonas Schomburg選手(ドイツ)
ランキング上位選手の多くが含まれていたバイクの大集団

集団でランニングをスタートしますが、1周目で数人が逃げ出します。3周目でSchoeman選手(南アフリカ)は第2集団から抜け出します。

第2集団から抜け出し前を追うSchoeman選手(南アフリカ)

最終周、Jelle Geens選手(ベルギー)との一騎打ちを制したKristian Blummenfelt選手が(ノルウェー)優勝しました。

最終ラップ、Geens選手(ベルギー)とBlummenfelt選手(ノルウェー)の一騎打ち
3位に入り東京オリンピック代表を決めたMorgan Pearson選手(アメリカ)
WTCS横浜2021男子エリートハイライト

バブル方式をどう攻略するか

「安心安全」の東京オリンピックでも「バブル方式」が採用される予定です。WTCS横浜2021は感染症対策の専門家と共に策定した施策により実施され、「アスリートガイド」として公開されています。東京オリンピックでいう「プレイブック」と同じです。多くの事は「アスリートガイド」に則り進行していましたが、やはり想定出来ない様な事が起きているようで、現場のスタッフはその対応に追われることになるでしょう。国毎で文化が異なりスタンダードが一定でなく、様々な言語の飛び交う「安心安全」オリンピックの会場で全てのリクエストをトラブルに対して均一の解決策を現場スタッフが提案していくことは困難であり、早々にバブル方式は崩壊するでしょう。

バブル方式に向く選手

チームスポーツであればトレーニング中にチームメイトとのコミュニケーションを図ることである程度気晴らしが出来るでしょう。基本的にトレーニング以外の時間はホテルの個室で過ごすことになるので、バブル方式に慣れ適応していくしかありません。部屋に好きな物を持ち込みスポーツ以外の事に打ち込む環境を整えたり、読書や勉強の時間に充てるなど、インドアで過ごすことを苦に感じない選手の方がバブル方式では力を発揮できると思います。選手とスタッフはバブル内の滞在時間を出来る限り短くすることが大切だと思いました。6月初旬にオーストラリアのソフトボール代表チームが群馬県太田市に滞在しています。オリンピック本番まで一ヶ月以上の間を異国のホテルの中とトレーニンググラウンドのみで過ごし精神的に疲弊していくでしょう。それよりもギリギリまで母国の国内で調整し、出来るだけ短期間バブルの中で過ごす方が良いと思いました。

<結果>世界トライアスロンシリーズ横浜2019

2019年5月18日・19日に山下公園周辺特設コースでITU世界トライアスロンシリーズ横浜大会が開催され、今年も南アフリカトライアスロン男子チームのサポートして来ました。

快晴のレース当日

ゴールデンウィーク頃から続いた不安定で低めの気温がウソのようにレースの週の後半は良い天気に恵まれました。予想に反して横浜港の水温は上がり20℃を超え、ウエットスーツ着用不可になりました。 ※WTSなどのエリートレースでは水温が20℃を超えるとウエットスーツが着用できなくなります。

スイム会場になる山下公園付近

スイムをリード

男子のレースは13:06にスタート。1周750mのコースを2周回泳ぐ1500m。ウェットスーツ無しのスイムが得意なスクーマン選手が1周目からスイムをリードし、そのままトップでスイムアップしました。スルワルド選手も第2集団で先頭と30秒差程度でスイムを終了。

先頭集団でバイクを進める

バイクでは世界トライアスロンシリーズシリーズリーダーのルイ選手(フランス)、前節のバミューダ大会で優勝したコナン選手(フランス)、今年からWTSに復帰したトライアスロン界の「リヴィングレジェンド」ゴメスノヤ選手(スペイン)、スクーマン選手を含む10名程度が先頭集団を構成。スルワルド選手はバイクの強い選手を多数含む第2集団で先頭集団を追いました。

第一パックでレースを進めるスクーマン選手
第2パックで先頭集団を追うスルワルド選手

ランニングはスプリント勝負

先頭集団と第2集団は差を開いたまま、ランニングをスタートさせました。スクーマン選手はランニングも先頭集団でレースを進め、最終周のゴール手前までもつれましたが最後のスプリント勝負で2位に入りました。スルワルド選手も31分台のランニングで19位でゴールしました。

ラン最終周まで駆け引きは続きます
第2集団でランニングをスタートしたスルワルド選手

ITU世界トライアスロンシリーズ2019横浜大会 男子結果

  • 1位 バンサン・ルイ(フランス)1:43:21
  • 2位 ヘンリ・スクーマン(南アフリカ)1:43:24
  • 3位 ベンツェ・ビチャーク(ハンガリー)1:43:26
  • 19位 ウィアン・スルワルド(南アフリカ)1:45:03

※男子のすべての結果はこちらをご覧ください。

2位で表彰台に上るスクーマン選手
スクーマン選手とスルワルド選手

5月22日は定休日です

5月22日(水曜日)は定休日になります。また、5月24日(金曜日)は大会サポートの為、15:00閉店になります。よろしくお願いいたします。

5月18日は臨時休業します

5月18日(土曜日)は世界トライアスロンシリーズ横浜大会サポートの為、終日お休みさせていただきます。ご迷惑お掛けしますが、よろしくお願いいたします。翌5月19日(日曜日)は定休日になります。

今年も南アフリカチームをサポート

2009年より始まった世界トライアスロンシリーズ横浜大会も2019年で10回目を迎えました。今年も南アフリカ代表のヘンリ・スクーマン選手(リオデジャネイロオリンピック男子トライアスロン銅メダリスト)とウィアン・スルワルド選手のサポートをさせていただきました。東京オリンピックの選考レースの対象になっており、スクーマン選手がレースナンバー8、スルワルド選手がレースナンバー33でスタートします。当日はNHK BS1で生中継されますので、是非ご覧ください。

ITU 世界トライアスロンシリーズ横浜

  • フォーマット・・・Swim 1.5 km /Bike 40 km /Run 10 km
  • スタート時間・・・女子エリート 10:16~ / 男子エリート 13:06~
  • テレビ中継・・・ NHK BS1 10:00~15:10 女子エリート/男子エリート
スクーマン選手とスルワルド選手

5月15日は定休日です

5月15日(水曜日)は定休日になります。

5月18日は臨時休業します

5月18日(土曜日)は世界トライアスロンシリーズ横浜大会サポートの為、お休みさせていただきます。また、5月16日(木曜日)・5月17日(金曜日)は選手サポートの為、営業時間が変更になる場合がございますのでご注意下さい。よろしくお願いいたします。

 5月の営業スケジュール

5月の営業スケジュール

5月は5月7日~5月12日の週の営業が不規則になりますのでご注意下さい。その他の日は10:00~19:30(最終受付)でオープンします。定休日は毎週水曜日と日曜日になります。

ゴールデンウィーク

ゴールデンウィーク中も、通常通り日曜日と水曜日が定休日になります。「憲法記念日」「みどりの日」「こどもの日」等祝祭日も10:00~19:30(最終受付)でオープンします。ご来院お待ちしています。

  • 5月1日  (火曜日) 10:00~19:30(最終受付)
  • 5月2日 (水曜日) 定休日
  • 5月3日 「憲法記念日」(木曜日) 10:00~19:30(最終受付)
  • 5月4日 「みどりの日」 (金曜日) 10:00~19:30(最終受付)
  • 5月5日 「こどもの日」 (土曜日) 10:00~19:30(最終受付)
  • 5月6日 (日曜日) 定休日

5月第2週目

5月7日~5月11日はWTS横浜大会(ワールドトライアスロンシリーズ横浜)スーパーラグビーのサポートの為、開店時間が遅れたり閉店時間が早くなる場合がございます。また、5月12日(土曜日)はWTS横浜大会サポートの為、終日休業とさせていただきます。ご迷惑お掛けしますがよろしくお願いいたします。

  • 5月7日(月曜日)~5月11日(金曜日) 開店時間が遅れたり閉店時間が早くなる場合がございますので、予約なしでご来院の場合は電話でご確認下さい。
  • 5月12日(土曜日) WTS横浜大会サポートの為臨時休業

※過去のワールドトライアスロンシリーズ横浜大会関係の記事